S-Works Tarmac SL9インプレしてみた!
2026年7月11日

【試乗インプレッション】新型 S-Works Tarmac SL9 ― 史上最速は伊達じゃない
- 公開:2026.07.1
- 更新:2026.07.1
スペシャライズドのフラッグシップロードバイク「Tarmac」が、3年の時を経てさらなる進化を遂げました。

新型S-Works Tarmac SL9は、単に軽いだけでも、空力性能が優れているだけでもありません。
スペシャライズドが開発指標として掲げるのは「Time to Finish(ゴールまでのタイム)」。
実際のレースコース、実際のライダー、実際の走行条件において、より速くゴールラインへ到達するために開発されたロードバイクです。
今回、実際に試乗する機会を得たので、Tarmac SL8との比較やフィッターとしての視点も交えながらインプレッションをお届けします。
Contents
まず感じたのは高速域での完成度の高さ
試乗当日は決して穏やかなコンディションではありませんでした。
風が強く、エアロロードにとってはハンドリングへの影響が気になる状況でしたが、実際に走り出してまず感じたのは安定感の高さです。

ペダルを踏み込んだ際の軽快感としなやかさはTarmac SL8の良さをしっかり継承しています。
しかしTarmac SL9では、その軽快さに加えて中速から高速域での巡航性能がさらに向上している印象を受けました。
一度スピードに乗せると、その速度を維持しやすく、無駄な失速感が少ない。
平坦路や緩やかなアップダウンが続くコースでは、特にその違いを感じやすいでしょう。
また、横風を受ける場面でもフロント周りは非常に落ち着いており、エアロ性能向上と引き換えに扱いづらくなった印象はありませんでした。
Tarmac SL8からさらに進化したエアロデザイン
今回のTarmac SL9は、見た目からも分かるほどエアロ性能を追求したフレームへと進化しています。
ヘッドチューブは最大4mmスリム化
Tarmac SL8と比較するとヘッドチューブの中心あたりは約4mm細くなっています。


前面投影面積を減らすことで空気抵抗を低減しながら、ハンドリング性能とのバランスも高いレベルで維持しています。

Tarmac SL9のヘッドチューブを薄くするために、フロントフォークのステアリングコラムには、リアブレーキホースを通すために、芯をずらす工夫までされています。
トップチューブはより空力重視の形状へ
Tarmac SL8では比較的丸みを帯びた断面形状だったトップチューブは、Tarmac SL9ではより平らな断面形状へ変更されています。

フレーム全体を流れる空気をコントロールし、ライダーを含めたシステム全体の空力性能向上に貢献しています。
シートチューブ・シートポストも大幅進化
シートチューブからリアホイールにかけての形状も見直され、ホイール周辺の空気の流れをよりスムーズに整えています。


専用シートポストも含めて、リアセクション全体で空力性能向上を狙った設計です。
BB周辺やチェーンステー刷新
BB周辺やチェーンステーも変更されました。


ボリュームが増えたようにも見えますが、Tarmac SL9の乗り味は健在!
エアロ化しても軽い。その技術力
興味深いのは、ここまでエアロ性能を追求しているにも関わらず、重量増を感じさせないことです。
一般的にはフレーム表面積が増えるほど重量は増加する傾向があります。
しかしTarmac SL9は、フレーム重量687gを実現と、なんとTarmac SL8から2gしか増えていません。
フレームセット重量も約1.39kgと、エアロロードとして驚異的な軽さを維持しています。

S-Works Tarmac SL9 AXSの完成車重量は、54サイズで実測6.66㎏。
軽量性と空力性能という相反する性能を高い次元で両立している点こそ、SL9最大の特徴と言えるでしょう。
Aethos 2にも通じる開発思想
私自身、Tarmac SL8だけでなくAethos 2にも乗っています。

今回のTarmac SL9には、Aethos 2で採用されている構造や設計思想が取り入れられています。
速さを追求するために、軽量性、操作性、剛性、快適性のバランスを高いレベルで成立させる考え方です。
実際に乗った印象としても、Tarmac SL8の優れた走行性能をベースに、さらに洗練された完成度を感じました。
Body Geometry Fitのフィッターとして見たTarmac SL9
フィッターとして非常に評価できるのは、Tarmac SL8からリーチ・スタックが変更されていないことです。
現在Tarmac SL8に乗っている方であれば、大きくポジションを変更することなくSL9へ移行しやすくなっています。
Body Geometry Fitを受けているライダーにとっては非常に大きなメリットです。
一方で注意したい点もあります。
新型のフレアハンドルを採用した場合、360mm・380mm幅では従来の-6°ステムではなく、-10°相当のポジションとなります。

そのためハンドル落差やブラケット位置が変化する可能性があり、特にポジションにこだわるライダーは確認が必要です。
また、Tarmac SL9から完成車はフレームサイズによってクランク長が短く設定されています。
これはエアロポジションとの相性や効率的なペダリングを考慮した仕様ですが、従来モデルから乗り換える場合にはサドル高やポジションへの影響も確認したいポイントです。
タイヤクリアランスは32mm対応
近年のロードバイクに求められる快適性や転がり抵抗低減への対応も抜かりありません。
フレームのタイヤクリアランスはSL8同様に最大32mmまで対応しています。
そして注目したいのは標準装着タイヤです。
Tarmac SL8では28cが標準でしたが、Tarmac SL9では30cタイヤを標準装着。

これは近年のロードレースシーンで主流となりつつあるワイドタイヤ化の流れを反映したものです。
快適性、グリップ性能、転がり抵抗のバランスを考えると、多くのライダーにとってメリットの大きいアップデートと言えるでしょう。
まとめ|SL8を知るからこそ感じる確かな進化
Tarmac SL8は今なお非常に完成度の高いロードバイクと感じています。
だからこそTarmac SL9は劇的な変化ではなく、SL8の優れた性能をさらに磨き上げたモデルなのだろうと思っていました。

しかし実際に試乗してみると、
- 高速巡航性能の向上
- 横風への安定感
- さらに洗練された空力性能
- 扱いやすいハンドリング
- 軽量性とエアロ性能の高次元な両立
といった部分で確かな進化を感じることができました。
そしてフィッター目線では、Tarmac SL8ユーザーが移行しやすいジオメトリーを維持しながら、現代のロードレースに求められるエアロ性能やワイドタイヤへの最適化が進められている点も非常に魅力的です。
Tarmac SL9は単なる後継モデルではありません。
スペシャライズドが掲げる「Time to Finish」を体現する、新たなフラッグシップロードバイク。

レースで結果を求めるライダーはもちろん、速く、長く、気持ちよく走りたいすべてのライダーに体感していただきたい1台です。






